2014年3月30日日曜日

響きを大切にできる生徒を育てたい♪

本年度のレッスンが終了しました。

この一年、私はこれまでになく、
自分のピアノ指導をより良いものにしていこうと
懸命になりました。

そして、
私の理想とするピアノ指導は
『一音一音の響きを大切にした指導』
であること。

自分の中でそう確信を持つことができた一年でもありました。

しかしそれと同時に、
生徒さんや保護者の方々が求めていらっしゃるものは何なのだろう、
私の理想としている指導と、
果たしてそれは合致しているんだろうか、
そんなことを深く考えてもいました。

『一音の響き』にこだわったレッスンは、
楽しいばかりではなくて、
時には我慢も忍耐も必要です。
また、集中して音を聴く努力をしなければなりません。

もし生徒さん側がピアノレッスンに求めているものが、
その場をとにかく楽しむことであったり、
リフレッシュであったりするのならば、
忍耐を強いるようなレッスンはそぐわないのではないか。

「好きな曲を弾けるようになりたいな」
そう思ってピアノを習い始めた子に、
『一つの音をどうしたら綺麗に響かせることができるのか』
といったことばかりをレッスンしていたら、
時に退屈になってしまって
「ピアノってつまらない」
と感じさせてしまうのではないか。

そんなことを悶々と考えながら日々を過ごしていました。

でも、やはり一音の出し方に妥協してしまうと、
そこから先、全てがその妥協の上の演奏となり、
本当の意味でピアノ(音楽)を楽しむこと、
また、本物の音楽を作り上げること、
それらが難しくなってしまうと思うのです。

実は私自身、
幼少の頃に響きにこだわったレッスンを受けてきませんでした。
音感などはついたのですが、
響きに対する感性や、
響きによって作られる表現だったり個性だったり、
そういうものが足りないまま成長してしまいました。
そして、それらが足りないという事実を、
当時、周りの大人たち(師事していた先生も!)は教えてくれませんでした。

いつも自分のピアノ演奏には
何か欠けているんじゃないか、
と漠然とした疑問を持ちつつも、
当時通っていた音大付属の教室で成績もそれなりによく、
演奏会に出して頂いたりしていたので、
「このままでいいのかな?うん、いいんだいいんだ。」
そう自分に言い聞かせ、
練習時間だけは費やしていました。

しかし、音大受験を控えたあるとき、
ひょんなことから他の大学の先生にレッスンして頂く機会があり、
その時初めて
「自分にはやっぱり足りないものがある」
って気がついたんです。

『美しい響きを作るための奏法、そこから生まれる表現力や個性。』
それらが私の演奏には欠如していました。

それまで本当に狭い世界でピアノを弾いていたのですね。
「何で今まで気づかせてくれなかったんだ!」
と親を散々責めました。
そして、もう受験まで時間がありませんでした。
とにかく必死になって周りに追いつこうとしたんですが・・・
時は既に遅し。
第一志望に合格することができませんでした。

併願していた同じ大学の第二志望学科に入学したものの、
『自分は周りより劣っている』
という思いが私の心を支配。
大学で師事した先生はピアニストとしても活躍していらっしゃる方だったのですが、
先生のご指導くださる内容が消化できず、
そんな自分に益々自信を失って、
音大に入ったのに音楽から逃げるようになってしまいました。


過去の話が随分長くなりました。
ここまでお読みいただいて、
「うちの子は趣味程度に習っているだけだから関係ない」
と思われる方もいるかもしれません。

けれども私が言いたいのは、
『一度ついてしまった癖、
間違った奏法を改善することは本当に難しいことなんだ』
ということです。

導入期の一時の間、
少し辛抱していただいて正しい奏法を身につけることで、
その後の演奏の質が大きく変わってくるのです。

響きに対する感性が乏しいまま
成長していってしまうのは、
せっかくピアノに興味を持ってくれているのに、
本当にもったいないことです。

たとえ趣味でピアノを弾くにせよ、
美しい音色を出すための奏法を身につけることは
自己表現の幅が大きく広がり、
人生を豊かにする素晴らしい材料になります。


楽譜に書かれている音符を読めるようにしたり、
正しいリズムで弾けるようにすることなどは
多くのピアノ教室が指導していることでしょう。

私はそれに加えて、
『一音一音の響きを大切にした奏法と指導』
を自ら学び、追求して、
響きのわかる生徒を育てていきたいと思っています。


保護者の方々には、どうか、私のこの思いをご理解いただき、
長い目で『音楽を楽しむこととは本来どのようなことなのか』をお考えいただいて、
お子様のレッスンライフを見守って下されば嬉しく思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。


追記:
本年度最後のレッスン、
4月から一年間頑張ったご褒美に、
ささやかなプレゼントを生徒さんに渡しました。

また、グループレッスンでは終了後にティータイムを設け、
皆でひとときを楽しみました。

また4月から新たな気持ちで頑張ろうと思います。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。



















0 件のコメント:

コメントを投稿