サマーコンサートの際に、こどもたち一人一人の演奏後に、
おうちでの取り組みについて、
お母様方にインタビューをさせていただきました。
「ピアノは大好きで上手くなりたい気持ちはあるようなんですけど、
練習が嫌いで・・・。」
といった類のお答えが多くありました。
もちろん、「毎日自分からすすんで練習しています。」
とおっしゃる方もいらしたのですが。
私も今回のインタビューでいただいた回答を振り返って、
生徒さんたちに今必要なのは何だろう、
私が彼らにできることは何なんだろう、
と考えています。
これまでにも、このことへの対策を試みてきました。
毎週のレッスンでの言葉がけに気をつけたり、
興味の沸くようなグッズを使ったり、
花マルをあげて次の曲に進ませるタイミングを考慮したり。
このブログでお家での取り組みについてのご提案をさせていただいたり。
その他にもあれこれ私も考え、実践してきたのですが、
残念ながら練習が嫌いな生徒さんたちにまだまだ響いていないのですね。
もっと生徒さんたちの根本を変える必要がある、
今はそう考えています。
例えば、
ピアノに対する心からの情熱。
日々の練習に対する心構え。
努力することの意義。
「ピアノって楽しい」と本当の意味で思えるようになるためには、
そこへ至るまでに必ずと言っていいほど努力や忍耐が必要であること。
それなしには本当の意味でそう感じることができないのだ、
ということを生徒さんたちに気づいてもらう必要もあるのかもしれません。
ここまでお読みいただいて、
「やっぱり毎日の練習は不可欠なんだ、練習させなきゃ。」
とお母様方、焦らないでください。
お母さんが「練習しなさい!」と言うから仕方なしにする。
お母さんが練習しないと怒るから仕方なしにする。
生徒さんによってはこれで効果の出る場合もあるのかもしれないのですが、
ほとんどの場合は結局、ヤル気を削いでしまうのではないでしょうか。
私は生徒さんたちがどうしたら自発的に練習をするようになるのか、
それを模索しています。
やはりそれが本来目指すべきところです。
今、私の長男が時々、松田紗依先生のところへレッスンに通っています。
先生のレッスンは、保護者は付き添わず、完全に先生と一対一でレッスンします。
指導者との一対一の信頼関係を築くため、
また、母親の存在を気にすることなくピアノと向き合うことが必要だという、
紗依先生のお考えのもとにこのような形を取っています。
レッスンが終わる頃、迎えに行くと、良くなった演奏を長男が披露してくれます。
先生から私(母親)へのアドバイスはこの際にいただきます。
何回目のレッスンのときでしたか、
紗依先生は「お母さんはつきっきりで練習見なくていいよ。」
と私に話してくださいました。
それまで横でつきっきりで教えていた私にとっては
驚くような助言でしたが、
そばで教えるとどうしても余計なことまで我が子に対しては言ってしまうなあ、
良くないなあ、と思っていたところだったので、
その日から私は長男の練習に最低限しか関わらないことにしました。
少し自分で練習させて、その後「上手になったやん、聴かせて!」
って声かけたりする程度。
リズムとか音とか明らかに違うところだけちょこっと指摘する程度。
そうしたら長男は最近、
これまでよりも明らかに素直な音を出せるようになってきています。
先生からも「無駄な力がスッと抜けてきたね。」と。
もちろん、自分でゆっくり考えながら練習しているので、
すすむペースはそう早くはないのですが。
長い目でみたときに何が大切なのか。
こどもにどんなふうに音楽、ピアノを捉えられるようになってほしいのか。
改めて考えさせられた出来事でした。
自発的に取り組むことができるような子を育てていくために、
お母様方にはどうか大らかな気持ちでいていただきたいと思っています。
キリキリしてこどもに接してもほとんどの場合、良い成果は見込めません。
生徒さんによっては、ヤル気のスイッチが入るのが遅い子もいると思います。
それでも、あるときスイッチが入ると一気に上達したりすることがあります。
そのときまで、大切な芽を摘んでしまわないように、
大らかに見守ってください。
私も生徒さんたちを信じて、
一人一人が持っている可能性を引き出すために、
日々のレッスンで一緒にピアノと生徒さんと向き合っていきたいと思います。
まずは一人一人のありのままの存在を認め、
そこから一人一人に合った方法を一緒に探していくこと。
私がこれからのレッスンでしていきたい大きな一つです。